薬剤師トップ  〉 ファーマスタイル  〉 知識  〉 Early Bird  〉 【医療情報Q&A】新型コロナウイルスのニュースを網羅
check
【特定薬剤管理指導加算】「イ(RMP)」「ロ(選定療養)」算定Q&A
Early Bird

【医療情報Q&A】新型コロナウイルスのニュースを網羅

2022年2月号

Q1. オミクロン株の変異は?

オミクロン株は、スパイクタンパク質全体で約30個、受容体結合部位に6~8個の変異が集積している(デルタ株では2個)といわれる。デルタ株の次に流行したためにデルタ株の進化系と誤解されることがあるが、デルタ株とは別のルーツの変異株。

Q2. オミクロン株はなぜ感染しやすい?

変異部位の多さは既存ワクチンの効力に影響する。従来株やデルタ株では既存ワクチンが中和抗体の機能を果たしていたが、オミクロン株では、スパイクタンパクの変異が多いために、既存ワクチンの抗体がSARS-CoV-2のスパイクタンパクと宿主細胞の受容体結合を防ぐことができず、体内の細胞感染が広がると考えられている。

Q3. オミクロン株ではなぜ重症例が少ない?

肺の細胞でウイルスが増えにくい性質があり、下気道炎(肺炎)を発症しにくいとされる。デルタ株とオミクロン株を比較した研究では、鼻腔の細胞ではオミクロン株が増加しやすく、肺の細胞ではデルタ株のほうが増えやすいことが報告されている。ただし、感染力が非常に強力なため、高齢者や基礎疾患保有者が感染し、重症患者が増大するリスクはある。

Q4. オミクロン株に対し既存のワクチンの効果は?

英国の研究で、オミクロン株の発症予防効果は、ファイザーのワクチン2回目接種後5~6か月では36.6%、3回目を接種すると2週後で75.5%に上昇するとの報告がある。

Q5. ワクチンで3回目の接種ができるのは?

2022年1月現在、日本で3回目接種が認められているのはファイザーとモデルナ。米国でファイザー、モデルナ、ジョンソンエンドジョンソンのそれぞれのワクチンの交互接種の臨床試験が行われており、いずれの組み合わせの交互接種でも、免疫原性と安全性に問題はなかったとされている。

Q6. COVID-19の薬物療法は?

COVID-19に対する薬物療法は、①抗ウイルス薬・抗体薬、②免疫調整薬・免疫抑制薬、③抗凝固薬、④その他の4種類に大別される。

Q7. 保険適応があるのは?

2022年1月現在日本で適応のある薬剤は、レムデシビル、バリシチニブ、カシリビマブ(遺伝子組換え)/イムデビマブ(遺伝子組換え)、ソトロビマブ(遺伝子組換え)、モルヌピラビル、トシリズマブ(遺伝子組換え)。レムデシビルはSARS-CoV-2による肺炎を有する患者、デキサメタゾンは重症感染症に関する適応。

Q8. 治療薬の使い分けは?

軽症で使用

ソトロビマブ(発症7日以内)、カシリビマブ/イムデビマブ(発症7日以内)、モルヌピラビル(発症5日以内)、レムデシビル

中等症~重症で使用

レムデシビル、バリシチニブ、デキサメタゾン

Q9. 国内のワクチンの状況は?

開発状況は以下のとおり。

開発企業※1 種類 ここまでの状況 目標※2
塩野義製薬
感染研/UMNファーマ
組み換え
タンパク
  • 第Ⅰ/Ⅱ相試験を開始(2020年12月)
  • アジュバントを変更した製剤による第Ⅰ/Ⅱ相試験を開始(2021年8月)
  • 第Ⅱ/Ⅲ相試験を開始(2021年10月)
  • 第Ⅲ相試験
    (①発症予防効果検証 2021年12月、②抗体価の比較 2022年1月)
  • ブースター用試験を開始(2021年12月)
‐(第Ⅲ相試験を実施中)
第一三共
東大医科研
mRNA
  • 第Ⅰ/Ⅱ相試験を開始(2021年3月)
  • 第Ⅱ相試験を開始(2021年11月)
  • ブースター用試験を開始(2022年1月予定)
第Ⅲ相試験を2022年度
上半期に開始の意向
アンジェス
阪大/タカラバイオ
DNA
  • 第Ⅰ/Ⅱ相試験を開始(2020年6月、9月)
  • 第Ⅱ/Ⅲ相試験を開始(2020年12月)
  • 上記は期待する効果が得られず、高用量製剤での第Ⅰ/Ⅱ相試験相当を開始 (2021年8月)
高用量製剤の開発に注力
KMバイオロジクス
東大医科研/感染研/
基盤研
不活化 第Ⅰ/Ⅱ相試験を開始(2021年3月)
第Ⅱ/Ⅲ相試験を開始(2021年10月)
第Ⅲ相試験を2021年度内
に開始の意向
VLPセラピューティクス mRNA 第Ⅰ相試験を開始(2021年10月)、ブースター用試験を開始予定(2022年2月) 第Ⅱ/Ⅲ相試験を2021年度
内に開始の意向
※1:生産体制等緊急整備事業で採択された企業 ※2:開発者から聞き取り
厚生労働省 ワクチン開発と見通しより作成
参考資料
  1. 日本感染症学会「COVID-19 ワクチンに関する提言(第4版)」
  2. 日本感染症学会「COVID-19 に対する薬物治療の考え方第12版」
  3. 厚生労働省HP 新型コロナワクチンについて
  4. 朝日新聞デジタル2022年1月21日記事
  5. NHKスペシャル「オミクロン株 “第6波”の行方」

※本ページの情報は、2022年2月1日時点までのものです。最新情報は変更となっている可能性があります。

この記事の関連キーワード

この記事の冊子

特集

疾患別に考察「対人業務の充実に向けた薬薬連携の課題」

改正薬機法に基づき、オンライン服薬指導や調剤後のフォローアップ義務化など薬局のあり方を説明しています。日本だけでなく海外における連携体制の現状も分かる内容です。

疾患別に考察「対人業務の充実に向けた薬薬連携の課題」の画像
special Interview

2022(令和4)年度調剤報酬改定「患者のための薬局ビジョンの実現」

改定の基本的な視点を踏まえ、「専門性や個性」を追及した新たな薬局の機能について狭間研至氏が解説。さらに経営視点から薬剤師のスキルアップに向けた取組を提案しています。

2022(令和4)年度調剤報酬改定「患者のための薬局ビジョンの実現」の画像
カフェ

「花粉症と食物アレルギー」 ファーマスタイルカフェVol.11

lgE依存性の花粉-食物アレルギー症候群(PFAS)に関する話題です。疾患の原因や主な症状を含め、花粉の種類と関連する食物例が掲載されています。

「花粉症と食物アレルギー」 ファーマスタイルカフェVol.11の画像
Early Bird

【医療情報Q&A】新型コロナウイルスのニュースを網羅

現場で役立つ医療情報をQ&A形式で掲載。オミクロン株の特徴や国内のワクチン状況、治療薬の使い分けなど新型コロナウイルスの最新情報(2022年2月1日時点)が網羅できます。

【医療情報Q&A】新型コロナウイルスのニュースを網羅の画像
特集クイズ

疾患別に考察「対人業務の充実に向けた薬薬連携の課題」|答えて学ぼう特集クイズ

特集「疾患別に考察「対人業務の充実に向けた薬薬連携の課題」」について正しく理解できていますか?クイズで確認してみましょう。

疾患別に考察「対人業務の充実に向けた薬薬連携の課題」|答えて学ぼう特集クイズの画像

この記事の関連記事

人気記事ランキング