
夕暮れ時になると、歩行者は消えてしまう!?
死亡者が出るような交通事故は、どの時間帯で発生しているのでしょうか。警察庁がまとめた2013~2017年の5年間における交通死亡事故発生状況によると、17時台は1,300件を超え、18時台や19時台も1,200件以上と多いのに比べ、その他の時間帯はいずれも1,000件未満にとどまっています。そして、昼間の交通死亡事故では「自動車×自動車」の割合は21%で、「自動車×歩行者」の20%と同程度ですが、17時台~19時台では「自動車×自動車」の割合は11%に減り、逆に「自動車×歩行者」は53%と大きく増加していました。つまり、日没時刻の前後1時間の「薄暮」と呼ばれる時間帯に、歩行者を巻き込む交通死亡事故が多発しているのです。死亡した歩行者の特徴としては高齢者が多いこと、横断歩道以外での道路の横断で死亡事故が多いことも示されています。
太陽が地平線に没していき、薄い闇が広がる夕暮れ時は「黄昏時(たそがれどき)」とも呼ばれます。薄暗くなった夕方は人の顔が見分けにくく、「誰だあれは」という意味で「誰そ彼(たそかれ)」と言ったことから、「たそかれ(たそがれ)」は夕暮れ時を指す言葉となったそうです。
薄暗いから歩行者が見えづらくなり、交通死亡事故が発生しやすくなるのだろう、ということは感覚的にわかりますが、このときドライバーの視覚には、どのようなことが起きているのでしょうか。
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