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創面の確認と外用薬の適正使用を推進し褥瘡を治す環境づくりに貢献
分科会「在宅での褥瘡医療における薬剤師の貢献」では、これから特に在宅で増加が見込まれる褥瘡患者に対する薬剤師の役割について意見が交わされた。
小林記念病院褥瘡ケアセンター長の古田勝経氏は、自身が考案した「Furuta Methods」について講演した。古田氏は、薬剤師は外用薬の基剤の吸水性、保水性、創面保護といった特性を理解したうえで患者に適切な薬剤を選択し、適正使用のために実技指導をする必要があると訴えた。そのためには、基剤特性の知識を持つ薬剤師による褥瘡創面の確認の重要性を指摘。外用薬の溶け具合から創面の湿潤状態を確認するという。高齢者の場合、適正な創面の水分量は60%が目安となるが、適正な水分量にするにはどの基剤が適切かを創面の状態から薬剤師が判断しなければいけないと古田氏は話した。また創面への薬剤の滞留維持もポイントだという。高齢者の皮膚は動きやすいため、創面が変形すると指摘。古田氏は、ポケットの動きを考慮したハの字型のテーピング方法や擦れを軽減する医療用パッドを使用することで創面に薬剤をとどめる方法を紹介した。
株式会社サン薬局の森麻美子氏は、外用薬の適正使用に関する取組みを紹介した。看護師のほかデイサービスのスタッフ、患者家族など患者の処置に関わる全員が外用薬を適正に使用でき、かつ適正使用された状態を維持できるように、写真付きの説明書とともに実技指導を初回に実施していると話した。

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薬局への相談をきっかけに適切なOTC医薬品の提供と受診勧奨
分科会「OTC医薬品の販売と受診勧奨」では、今後、かかりつけ薬剤師が地域住民への健康サポート機能を発揮するために必要とされる能力や取組みが紹介された。
昭和大学薬学部社会健康薬学講座准教授の亀井大輔氏は、薬局が患者や地域住民のファーストアクセスを担うためには、ファーマシューティカルケアの実践と症候学的な思考プロセスが求められるという。症候学的な思考プロセスでは、①患者の症候から考えられる疾患を列挙し、②患者から収集した情報を加えて可能性の高い疾患を順序付け、③臨床判断により適切なOTC薬を販売、④販売後の薬効評価・副作用モニタリングなどの継続評価を実施するという。亀井氏は、LQQTSFA※を用いた医療コミュニケーションと客観的なデータであるバイタルサインの確認・評価という2つの情報収集手段を紹介。患者からの情報収集を通して、全身状態を把握するという。
日野薬局の日野寛明氏は、健康サポート薬局の届出経験をもとに講演した。日野薬局はOTC医薬品548品目を取扱い、OTCの相談可能とPRポスターを薬局内に掲示している。日野氏は、骨の健康、物忘れ、ストレスチェックといった健康測定器具を利用したイベントを定期的に実施し、これまでに330名が参加。イベントを通じて来局者から様々な健康相談が寄せられ、13名に受診勧奨、20名に検診勧奨を行ったと話した。
※LQQTSFA:医療面談の手段。L=部位、Q=性状、Q=程度、T=時間と経過、S=状況、F=寛解・増悪因子、A=随伴症状の順に質問し、自覚症状を確認する。
